路線価、全国平均8年ぶりの上昇

国税庁が今年分の路線価を公表しました。全国平均は前年分を0.2%上回り、リーマン・ショック以降続いていた下落傾向が8年ぶりに上昇に転じました。海外観光客の増加を受けたインバウンド消費が地方にも波及したことが背景にあるとみられ、北海道や広島など全国14の都道府県が前年を上回っています。

路線価は、国税庁が1年に1度、7月1日に公表しており、毎年1月1日を評価時点として一定の範囲内の道路(路線)に面した土地を評価するもの。国土交通省の発表する「公示地価」の8割程度の価額が目安とされ、今年1月1日から12月31日までの間に相続や贈与で受け取った土地に、今回発表された路線価を基にした税額が適用されます。路線価の上昇は、土地所有者の税負担増を意味しているとも言えます。

16年分で路線価が全国で最も高いのは、31年連続で「東京都中央区銀座5丁目銀座中央通り(鳩居堂前)」でした。前年から18.7%上昇し、1平方メートル当たり3200万円となります。これに続く第2位は、大阪駅前の阪急うめだ本店。昨年の上昇率10.1%をさらに上回る22.1%の上昇となりました。いずれも過去最高額を記録したバブル末期の平成4年の9割に迫る勢いで、インバウンド需要やマイナス金利などが影響したとみられます。

インバウンド需要の好影響は地方にも波及しています。海外からのスキー観光客ににぎわう北海道のニセコリゾートのある倶知安町では、前年比50%上昇を達成しました。

しかし14都道府県が上昇する一方で、33県では下落幅は徐々に縮小してはいるものの下落が続きます。全国ワーストの秋田では前年比3.9%の下落を見せ、ピークだったバブル末期と比べると最高路線価は10分の1ほど。8年ぶりの全国平均プラスは東京など一部の地価高騰が数字を引き上げた感も否めず、行き詰まりを見せる安倍政権の地方創生戦略は正念場を迎えているといえそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>